今日も仕事。食べるのも仕事。[29歳OLのリアル飯。3皿目]

頭の中から仕事が抜けた隙間に週末感が流れ込み、ようやく私にも週末が始まる。

そして、始まったばかりの週末を横目に、すでに月曜日の訪れを急いている。こんなに月曜日が恋しい金曜日はない。ただただ、月曜日に入るお給料が待ち遠しい。
 
明日、私は家中の小銭を掻き集めて買ったファンデーションを載せ、一張羅のお気に入りのドレスを身にまとい友人の結婚式に参列する。
 
ファンデーションを買った後のわずかなおつりをSuicaに詰め込み、その値段で移動できるかを計算した。
後少しの額で足りなそうな気がするとすぐ、計算機を閉じた。
明日なんとかするしかないことを今、悩みたくない。
 
 
家に帰って、頭の中のレシピを振り返る。
引っ越しお祝いでお姉ちゃんから大量にもらった缶詰のひとつ、安そうなパッケージのズワイガニの身のほぐし。エビのスープの素と混ぜたら、美味しい豪華なクリームパスタができるだろう。フルーツの切れ端を漬け込んだ白のサングリアもちょうど飲み頃で、お料理ともよく合うはず。
 
大きな制限の中で、贅沢に感じられるメニューは私の気持ちを鮮やかに盛り立ててくれた。
完成のイメージに合わせて腕を動かしながら、今日の上司の言葉を振り返る。ひとつひとつのピースを合わせたら、応援するというメッセージになった。
 
 
故郷での生活に消耗し、消えたい衝動と生きたい命を交互に燃やしながら過ごした私が、もう東京へ出るのだと実現できるかもわからない決意を漏らしたときに、あなたは良い人を見つけるのが上手だからどこに行っても大丈夫だと言ってくれた人がいた。
 
あのときだって素敵な言葉だと感じたはずなのに、今よりはるかにバランスがとれなかった私。その気持ちをうまく表すことができなかったのか、なぜ彼の頭皮を囓るようなことしかできなかったのだろう。
 
嫌に思っても自分なので否定はできないが、いつなんときも過去の自分に共感しえない。ただ、彼の言葉だけは現実になった。
 
つぎはぎだが美しい明日の自分。つぎはぎの言葉から漏れるやさしさ。つぎはぎの記憶。つぎはぎの豪華な夕飯。
 
ごちそうさまでした。
 
[今日の材料]
玉ねぎ 1/4
にんにく 一片
菜の花
味噌汁
春キャベツ
カニの缶詰
エビのクリームスープの素
 
(調味料)
オリーブオイル
粉チーズ
ごま
ごま油