映画『シング・ストリート』

映画『シング・ストリート』を観てきました。
http://gaga.ne.jp/singstreet/

一言で言えば、この映画はファンタジー。
みなさん、ファンタジー作品は好きですか?私は嫌いです。昔から嫌いで、ハリ〜ポッタ〜とか、ロ〜ドオブ〜とか、あんな作品は反吐が出ると思って生きてきました。

 

しかし、ファンタジー映画のパンズ・ラビリンス(2006)を観て、ファンタジー作品への理解が変わります。ファンタジーは、現実があまりにもつらいから生まれたのだと知りました。
今回の映画シング・ストリートは、ある少年がつらい現実を音楽につむぐストーリー。
つらい現実に対峙するたびに音楽に落とし込む少年の姿は、ファンタジーが生まれる構造と似ていると感じました。しかし、少年の才能溢れるところは、不幸を不幸のまま歌わないところ。現実の不幸よりも、彼の持つ愛が勝って、自分の感じる不幸以上の歌が歌えている。これは本当にすごいことです。若い人は自分の不幸に向き合い過ぎますが、この少年は作品に現実が影響しすぎていない、腐っていないんです。
余談ですが、少し前に出たradioheadの新譜アルバムのdaydreamingという曲で、私はこの少年とは真逆の衝撃を感じました。音楽に明るくない私でも知っている有名なバンドが、地位や名声を手に入れても尚こんな曲を作るのだと、後頭部をバッドでフルスイングでした。彼らも、地位や名声という現実が音楽つくりに影響していないと感じました。腐った気持ちをいつまでも歌っている。

 

話を戻して、結局この映画の何がすごいかと言うと、誰でも何かを感じずにはいられないストーリーになっている点。
家族、学校、友情、恋愛、音楽、物作り、ありとあらゆる要素が盛り込まれており、14歳の少年である彼の生き様が、自分の中にある何かしらのコンプレックスに語りかけてきます。
そして、この映画には終始、愛が溢れている。現実がつらくても、腐るな、止まるな、半歩でも前へと心の中から勇気づけてくれるようなやさしさがありました。あとは、80年代の洋楽をしっかり聴いてきた人にとっては最高に楽しめる映画だと思います。エンタメ・コメディセンス抜群で、85年当時のMVのノリがユーモア満載で再現されており、MVという手法が誕生した時代の洋楽MVあるあるを見せつけられては岡崎体育も真っ青でしょう。

 

 

呪いじみた言葉を吐きたくなってしまうことがあるけれど、それではいつまでたっても半人前。呪いの上をいく愛の言葉を吐き捨てて生きたいと思いました。