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蓼食う虫も好き好き

1年と数ヶ月前まで2年近く使っていた路線をひさびさに使う。この感じ、懐かしい。

出発する駅が同じでも、路線が変わると乗る人間がこうも変わるものかね。下北沢や吉祥寺を目指すこの路線に乗り合わせる人間のこの感じ。こんなに苦手だったっけ。

 

男1女2のグループの会話、女1がカウントする都道府県がまるで禿げ散らかされた頭部。その女が作り上げる禿げ散らかされた日本を男1は楽しそうに受け入れてキャッチボールしている。ひどく愉快そうに見えた。

 

知識の散らかった女1の髪は流行りのカラーに染まり、流行りのスタイルにセットされていて可愛いらしい。

自分の頭の中にある歯抜けた日本を言葉にするために揺れ動く手足。その統制されていない腕が抱えるバッグが、歯抜けた日本が語られるたびに遠慮なく私の手足にぶつかる。

 

溜め息や舌打ちや文句を言いたい思いに引き換えて、女1のきちんとセットされた髪の毛の編み込みから頭皮に向かって這う寄生虫が毛根から頭皮の奥へと巣食う様子を想像しながらこの文章を書き上げている。

男女が戯れる声よりも断末魔の叫び声のほうが「聞ける」と思った小田急線、夏の夜