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5匹目の

ゴキブリを見た。追い抜かした。すっかり肌寒くなった秋の夜、金曜日の恵比寿駅東口のロータリー横を彼は慌てて走っていた。

スーツは乱れ、ジャケットの裾口からはシャツがはみ出ていた。脚を忙しなくバタつかせ、微々たる歩みを進める。彼の様子からは焦りがありありと見て取れた。

 

花金だと言うのに。思ったよりも残業が長引いてしまった。会食の約束があったのに...!駆ける足を加速させる。彼女は怒っているに違いない。帰ってしまっているかもしれない。あぁ、会社でも彼女にも謝ってばかりだ!

 

屋外で見かけるゴキブリはやっぱりのろまだ。もはや可愛くすらもあった。

 

頑張れ、ゴキブリ。頑張れ、新米サラリーマンゴキブリ!