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心の深淵に在るもの 〜人間の告白より〜

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電話ではうまく伝えられるかわかりませんので、このようなかたちで告白することをお赦しください。

 

古い付き合いの友人に最近の状況を相談した結果、君は躁うつ病的だと友人が意見をくれ、私のほうも納得しましたので、病院に行くことを決めました。

 

思い返せば、あなたと知り合い、親しくなってすぐから、私には戸惑いがあったのです。あなたはとても良い人であり、慈しみたいと思う一方、理由のない怒りの感情がいつも心にありました。

 

あなたが私を好きかどうか、大切にしてくれるかどうか、いつも確認したくてたまらず、その一方で、こんな私を好きだと言うあなたが理解できず、軽蔑に近い感覚も持ってしまいました。好かれたいと切望しながら、好意をいざ目の当たりにすれば戸惑い、恐ろしくてたまらず、その恐怖から逃げ出さずにはいられなかったのです。

 

あなたと居るとき、身を引き裂くような矛盾した感情が私を支配しました。

 

あなたへの態度や自分自身の人格がどうすれば矯正されるか悩んだ末、「これまでに絶交した友人らと交友を再開できるような人間になれれば、私のこのような人格破綻は少しマシになるのではないか」と思考しました。過去の友人に懺悔し、許してもらうことで前に進めるかもしれないと思ったのです。先日あなたに送った手紙は、そういった思考から書かれました。あなたはさぞ、戸惑ったことでしょう。

 

さきほども述べたように、このようないきさつを友人に説明したところ、私の行動は躁うつ病に近いと言われたのです。友人に指摘されたとき、私の不安定さは確かに病的だと自分でも思いました。病院に行って気分を安定させる薬をもらうことが今できる最善策だと思うと、希望すら感じます。

 

以前話したことがあったかもしれませんが、私がまだ幼い頃に父が病気によって働けなくなり、母が家計を支えていました。ひどく貧乏だったので両親は喧嘩が多く、私達兄弟も気持ちがいつも不安定で、兄弟で殴り合い傷つけ合う毎日でした。両親に満足に甘えた記憶がありません。私達家族は、皆が皆、苦痛と孤独を抱えたまま、一つ屋根の下で身を寄せ合うことなく、たった一人で絶望に打ちひしがれたのです。


母はある事情から絶縁されていたため、親戚に頼ることができず、私達兄弟は大人に保護されることなく、体だけが大人になってしまったようです。今でこそ、同じ痛みを抱える戦友として、兄弟同士の絆は深く、慰め合えるけれど……。

 

こういった過去があるためでしょうか。あなたの愛情を異常なほど求めるのに、いざ愛情を向けられると戸惑いと不安でたまらないのです。私は誰かに愛される準備がないことを知りました。


あなたには辛い思いを、申し訳ないことをしてしました。それでも向き合おうとしてくれたことに、感謝しています

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