この夏、強い人間に生まれ変わる方法を発見しました。それは、野生のウミガメと一緒に泳ぐこと。
実は、今年の夏期休暇にバカンスで行った、日本のある島のビーチでシュノーケリングをしていたところ、野生のウミガメに遭遇しました。しかも、4匹。
いずれも人に慣れているのか、チラリと横目で流す程度で、逃げも隠れもしません。
そういうわけで、好きなだけ野生のウミガメを眺めていました。間近で見るウミガメは想像以上にデカくて、こわい。
しかし、その性格がある程度掴めてくると怖さは和らぎ、愛しく思えてきました。
さて、ここはコンクリート・ジャングル・東京。ギチギチの電車に詰め込まれ、ギチギチに仕事を詰めて働く私です。
そんなときに、悠々自適と海を泳ぐウミガメの姿が浮かぶのです。彼らは言います。
「ウミガメを育む、そんなこと以上に価値のある仕事が、この地球に存在するかい?」
「ぼくたちが海藻を食した直後に、両腕で胸を叩くことすらも知らない人間が君の上司かい?」
「ぼくたちが息継ぎする音を聞いたこともない、そんな上司が口にする言葉など、戯言さ」
そうです。あの日、あの瞬間以来、私は変わったのです――ウミガメと一緒に海で泳いだことがある人間に。
あれ以来、つらい仕事や、上司からの小言に耐えられるようになりました。
胸をトントンと叩きながら、窓際の定位置に戻り、まるでウミガメのように、静かにインターネットの底を漂うのです。