誰かネコババしてない?

使用しているiPhone5Sの充電機能の低下が著しい。

つい10分前には50%半ばだったにも関わらず、そのまま使用していると目に入る数字が30%弱だったりする。

この衝撃は通勤電車に乗り合わせている誰とも共有しえないため、もちろん顔に出すことなくクールに指を動かすだけなのだが、不信感は増殖する。

1分間に約2パーセント。秒針に追われ、完全に追い込まれている。

これはどういうことだろうか。半月前は、こんなことはなかった。急激なのだ。ここ数日は、1日2回の充電を強いられている。しかも、ほんの1時間程度放置していれば100%に満ちる。軽い。

すぐ減って、すぐ回復するなんて、実に軽薄だ。そんなことなら、充電がなかなか減らず、大して溜まりもしない堅物であってほしい。2日に1回、一晩かけて充電する。そしてまた2日かけて消費する。スローライフ

しかし、壊れてしまったものが元戻らないことは、機械が普及するよりもずっと先に恋愛が実証した。私の携帯も、もう駄目なんだと思う。それでも、変えたり換えたり替えるつもりがなければ、この軽薄な男と付き合い続けるしかない。

触れ合えば後先考えずにエネルギーを大量消費し、すぐにエネルギーの充足を要求する。悪びれもしない。

私の引き落とし額は増えるばかり。いつからこんなに軽薄な人になってしまったの?見つかるはずもないスタート地点に思いを巡らせる。

もしくは、虚弱体質の男。白く、病弱で、思慮深そうな表情が似合う。可憐な指には本こそ似合うが、世の中のありとあらゆる労働を掴む力がない。その体は日に日に衰え、いずれは管をつないだままでないと意識を保つこともできなくなる。そして、そんな日がそう遠くはない実感がある。わたしの目にはその日が、うっすらとだが、しかし確実に見えている。

この文章が終わるころ、すっかり秒針に迫われてパーセンテージは1桁を切り、カウントダウンが刻まれていることだろう