母と子

子どもを産む前と後では自分が大きく変わった感覚がある。

 

かつての自分が大切にしたり、やたらと気に病んでいたことに共感できなくなった。なぜあんなに自分以外の人間について興味や遠慮など、さまざまなエネルギーを割いていたのだろう。

 

今は自分たち家族、親族、ごくわずかな友人に関わること以外にエネルギーを割く意欲が湧かなくなってしまった。

そもそも昔はエネルギーを方々に使い果たしてメンタルを病んでいたほどなので、今は健康的で最高の仕上がりといえる。

 

しかし先日、意外なことがあった。

 

バスの待ち時間におばあさんに話しかけられた。私はおばあちゃん子だったので、亡き祖母を思い出して、当然ながら優しく接した。

 

バスに乗り込み、別れる時には2週間後に近所の喫茶店でお茶をする約束までした。

そして実際に会い、一時間半ほど話をしてみると、とても怪しい人物であることがわかった。

どう考えても宗教勧誘の入り口、最初のステップとしての会話が多かった。

私はとあるカルト宗教の教義について知見があったので、その不審なババアの発言にも違和感を持つことが多かった。

 

昔なら誠実な対応を考えてしまい、やりとりを続けてしまったかもしれないが、子を持つ母としての強さを身につけた私は即ブロックした。

 

亡き祖母はよくバス移動をしていて、見知らぬ人に気さくに話しかけていたのだった。

 

あの無礼で恥知らずなババアはどうでもよいとして、私の大切な祖母は、あの愛しいあたたかな祖母はもうこの世界にいないのだと再認識する時はいつも悲しい。