笑い 子eps.1

産前に髪の毛を切ってから四ヶ月ぶりに、行きつけの美容室でばっさりと髪を漉いてもらった。

短い髪がぴったりと馴染んで本来の私が戻ってきた感覚がある。

家路につきながら、バスから眺める景色の中で懐かしさが湧きあがった。

ちょうど去年の今頃に夫と同棲を始める物件を探しており、散策した街だった。あの日も今日のような気持ちがよい天気だったことも思い出された。

あの時は思いもしなかったが、無事に住む街、物件を決め、そして子を授かった。

この一年で私達の生活は何もかも変わった。こんなに変わるものかと思う。子どもという存在が持つエネルギーと影響力はあまりに大きい。

 

子は日々変化しており、少しずつ笑うことやその時間が長くなった。空腹が満たされてやっと母の存在に気づき、私を見て微笑む。

寝ながらも、にたにたと笑う。

何の夢か、くふふっ…と笑い声を漏らす。

かはっ、あははぁっ、けろけろけろと軽やかな笑い声を立てているが、やはり寝ている。