妊娠して変わることは多い。

まず、食べられる物が減った。

 

以前は週末にスーパーでパック寿司と揚げ物、ビールやレモンサワー数本をいただくことが自分へのご褒美として重要な機能を果たしていたが、今は刺身などの生物は控えなくてはならない。

 

また、時々食べていた辛い物や生ハムも食べられないし、食べたいとも思わなくなった。

 

妊娠発覚前に夢だった糠床を手にしたが、妊娠してからは想像しただけで吐き気を覚えるほど糠の匂いがダメになり夫に破棄してもらった。自宅から一刻も早くその存在を抹消したかったので、悲しくすらなかった。

 

ニンニクの多い料理は匂いだけでダメ、揚げ物も食べたい気持ちに負けると後で胸焼けを起こす。

 

前までの私の食生活を構成していた、好きだった食べ物を当然のように受け付けなくなった。

そして、前まで興味のなかった焼き芋、焼き鮭、かぼちゃの煮物、おでん、あんぱん、牛乳といった優し気な食べ物が、影を潜める私の食欲を刺激する数少ないラインナップになった。

 

妊娠初期はマクドナルドくらいしか食べられる物がなかったので、大きく進展した。

 

お腹の子の食の好みが個性的なのだ。そして、また様々な変遷があるだろう。子が健康に育っているのであれば、あとは神経質にならずに過ごしたい。

 

しかし、まだつわりが明けておらず、うっすらと気持ちが悪い日々が続いている。気を紛らわすためにずっとスマホでネットサーフィンをしているのだが、前はさほど気に留めなかったエロやグロのコンテンツに違和感を感じるようになった。

 

完全にシャットアウトしたくなる程ではないが、例えば以前から楽しく聴いていた芸人さんのラジオでいつものように下ネタが話されていても、下ネタが当然のように話されている事実に驚きや違和感を持つようになった。

 

漫画も、グロい表現に対して、嫌悪まではいかなくとも違和感がある。

 

今までは何気なく受け流すことができていた表現が自分の中で引っ掛かる。物理的なことや表現において、前よりも明確に潔癖になった。

 

テレビで不倫をした芸能人を執拗に叩く人は、こういう感覚が更に尖っていった結果なのではないかと感じる。私も同様に、まだまだ心身の潔癖が進む可能性はある。

 

自分の中で自分とは全く違う生物が育ち始めているのだから、一人だった私と私だけではなくなった体が変わるのは当然のことだし、また私が一人の体になったとしても、前の一人だった私とは違う私になると思う。

 

不思議なことだけれど、それが普通のことなんだろう。